箔押しから箔押し上げまで
紙張り・地引きによって整えられた原紙に、いよいよ本金箔を貼り付けていきます。
一枚一枚の箔を丁寧に扱い、最後に綿で表面を整えることで、本金箔ならではの美しい輝きが生まれます。
今回は、「箔押し」から「箔押し上げ」までの工程をご紹介します。
本金箔を一枚ずつ貼る「箔押し」
地引きした原紙の表面に接着用の漆を塗り、必要な枚数の本金箔を一枚ずつ丁寧に貼り付けていきます。
本金箔は3寸6分(約10.9cm)角のものを使用し、名古屋帯の場合、およそ18枚ほどを使用します。
本金箔を原紙に貼り付ける作業を「箔押し」といい、箔を貼り終えた状態を「箔押し上げ」と呼びます。
箔の状態を確認し、細かな部分を修正
すべての箔を貼り終えたら、和紙の裏側から透かして表面を確認します。
細かなピンホールや箔の欠けがないかを一つひとつ確認し、必要に応じて本金箔の端切れを使って丁寧に修正します。
目立たない小さな部分まで確認することが、美しい箔を仕上げるために欠かせません。
ローラーで空気を抜く
箔を貼り終えた原紙には、紙と箔の間にわずかな空気が残ることがあります。
そこで、手製のローラーを表面に転がし、紙と箔の間の空気を丁寧に抜いていきます。
「綿掛け」で箔の表面を整える
次に行うのが「綿掛け」です。
真綿や中入れ綿などの上質な綿を使い、貼り付けた箔の表面を、なでるように静かに整えます。
この作業によって箔のつなぎ目がなじみ、漆と箔がしっかりと密着することで、本金箔特有の落ち着いた光沢が現れてきます。
拭き取られた余分な箔は、「ナゼ箱」と呼ぶ箱に回収します。
こうして、一連の箔押しの工程が完了します。
職人の技が光る「箔押し」
本金箔は非常に薄く、繊細で扱いの難しい素材です。
それを、漆やローラー、綿といったシンプルな道具を使いながら、一枚一枚正確に貼り、状態を見極め、仕上げていきます。
そこには、長年の経験によって培われた、箔押し師ならではの繊細な技術と感覚があります。
一見シンプルに見える「箔押し」ですが、美しい本金箔を生み出すためには、職人の確かな技と丁寧な仕事が欠かせません。
紙張り、地引き、そして箔押し。
一つひとつの工程を積み重ねることで、帯地などに用いられる美しい箔が作られていきます。
参考文献
- 西陣織技術読本2023 金銀糸~箔と糸
- 「京都金銀糸平箔史」